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こんばんは、アキバです。


今宵は『予算実績会議』を通じて具体的に『経営計画書』を使う方法をお届けいたします。



〜其の伍・経営計画書は作るものではなく、使うもの〜



まずは前回までのおさらいです。

【経営理念】の下、会社としてのミッションを継続し続けるために必要な対価=『利益』を含めて、各部門毎の『事業目的』にどれだけ近づけば良いかを示す『事業目標』(予算)を策定します。
『事業目標』が金額ベースで決まりましたら、前回お伝えいたしました『行動計画』に落とし込みます。


『目標金額』=単価×『目標数量』=『行動方法(一般的には戦略)』×『行動量』


さあ、これで《準備完了》です。

あくまでも《準備完了》ですよ。


『経営計画書』は作るものではなく、使うものですからね。


それでは皆様、『経営計画書』を持って会議室にお集まりくださいませ。

策定した予算(金額ベース、数量ベース、行動量)と実績を照らし合わせる『予算実績会議』を開催いたします。



ほとんどの会社は、月単位や週単位で売上金額ベースの『予算実績会議』を行っていらっしゃる事と思います。

会議とまではいかなくても、数字を見るくらいの事はしていらっしゃると思います。


その売上金額ベースの『予算実績会議』を『行動計画』にまで落とし込んだ『経営計画書』を使って行います。


まず、予算ですが全て『経営計画書』に書いてありますね。
必要に応じて、それぞれの見たい期間=週単位や月単位、四半期毎、半期毎の『目標』に細分化して、実績と対比しましょう。


全社の『売上金額目標』が達成していないのは、各部門の『売上金額目標』が全て達成していないか、一部達成していないかのいずれかです。

一部達成していない場合には、達成している部門もあるので、【経営理念】の下における会社全体としてのミッションに反しないのであれば、達成している部門に特化しても良いでしょう。


各部門の『売上金額目標』が達成していないのは、各部門が取り扱う商品やサービスの『目標数量』が達成していないか、値引きにより単価を低下させてしまった結果でしょう。

『目標数量』は予定通り達成していて、値引きによる売上減少を招いているという事は、【経営理念】の下にミッションを遂行し続けるための『利益』を減少させているという事です。
値引きが始まっている商品やサービスについては、改めて下がってしまった平均単価における損益分岐点=何個以上売れば採算があうのか?=『修正目標数量』を必ず再計算しましょう。
場合によっては、その商品やサービスから早めに撤退しておいた方が良かったなんて事も想定されますので。


商品やサービスの単価は変わらず、『目標数量』が達成していない場合には、『行動計画』の予算実績を比較します。

『行動方法(一般的には戦略)』がマッチしていないのか、『行動量』が少ないのかが問題となりますね。


『経営計画書』の『行動計画』において予定した『行動量』が予定通り、もしくは予定以上に実行されている場合は、『行動方法(一般的には戦略)』に何らかの問題があるという事になります。

逆に『行動量』が予定より少なかったり、社員やメンバー毎に大きなバラつきが見られる場合には、『行動のプロセス(手順や工程)』の中に何らかの問題があるか、『お金基準の価値観』で会社にぶら下がっている社員やメンバーがいる事になります。


『行動方法(一般的には戦略)』に何らかの問題がある場合には、もう一度マーケットを見直してみましょう。
お客様から見れば同じような『本来の価値=存在価値+付加価値』の商品やサービスを提供している会社はが他にないか?、お客様に伝えたい商品やサービスの『存在価値+付加価値』はちゃんと伝わっているか?、そもそもお客様はその商品やサービスに『存在価値+付加価値』を感じなくなってはいないか?等々。
(※普通は個別の商品やサービスについては商品戦略を策定しますが、《小さな会社》では、あれもこれもいろいろとやっている時間は無いものと仮定して、『行動方法(一般的には戦略)』に織り交ぜております。)


一般的には新規事業でない限り、『行動量』が予定より少なかったり、社員やメンバー毎に大きなバラつきが見られる事から、『行動のプロセス(手順や工程)』の中に何らかの問題があるか、『お金基準の価値観』で会社にぶら下がっている社員やメンバーがいるという問題があるケースがほとんどでしょう。


『お金基準の価値観』で会社にぶら下がっている社員やメンバーがいる場合には、【経営理念】→ミッション→『事業目的』が浸透していない社員やメンバーがいるという事です。

自分の給料やボーナスが増える事が仕事の『目的』で、商品やサービスの『価値』も『原価+利益』でしか見ませんので、『利益』を減らさないために安い原材料を使って品質が低下したり、『利益』を増やすために安い原材料を高いモノと偽装して価格を吊り上げたり、一番大切なお客様の信頼を損なってしまうような事もしかねません。


ただ、間違っても、【経営理念】→ミッション→『事業目的』は浸透しているけれども『行動のプロセス(手順や工程)』の中に何らかの問題がある時に、トップダウンで「結果を残せていない奴は、自分の金目当てで仕事してるんだろう!」とか、「ミッションに情熱を込めていないから結果出ないんだ!」などと頭ごなしに決め付けるような事をしてはいけません。

部下がどんな考えや思いの下で仕事をしているか確認する前に決め付ける上司は『共依存』傾向が強いという事が言えますので、それでは別の問題が発覚した事になってしまいますよ。


ですから、まずは『行動のプロセス(手順や工程)』の中に何らかの問題があるのではないか?という仮定の下、『行動のプロセス(手順や工程)』の検証からはじめましょう。



『行動量』が予定より少なかったり、社員やメンバー毎に大きなバラつきが見られるという事ですから、『行動のプロセス(手順や工程)』の中にプロセスが滞る《ボトルネック》になっている部分を探しましょう。

その《ボトルネック》前後のプロセスに、潜在的問題点があります。

潜在的問題点を見つけたら、その都度修正を加えるか、いつまでに修正するかを決めて『修正行動計画』に加えていきましょう。




さてさて、いかがですか?

『経営計画書』は作っておしまいではなくて、使うものだという事をおわかりいただけましたでしょうか。


【経営理念】がお客様に対してその会社でこそ提供する事が出来る『本来の価値感』により、お客様にどうなって欲しいか?を『宣言』するものであれば、全社員で【経営理念】→ミッション→『事業目的』をいつも確認しあう事で不祥事を未然に防止し、法令を遵守し、ミッションを遂行し続けるための『利益』も意識し、『お金基準の価値観』ではなく『本来の価値観』を持って成長するための教科書にもなります。


『予算実績会議』においては、実績データさえあれば他にいろいろと分析データを作成しなくても良くなります。


『経営計画書』は社員やメンバー全員が参加して作る事も出来ますし、【経営理念】にしても会社の成長や環境の変化に応じて変える事も出来るのです。

という事は、『経営計画書』を社員やメンバーで役割分担をして作り込めば、作成に参加した社員やメンバーの成長にも寄与します。

また、社員やメンバーで役割分担をして作成すると、整合性に欠ける部分が発見出来たり、全く別の部分でやろうとして出来なかったナレッジマネジメントのきっかけになったりもします。

『予算実績会議』を経て、修正を加えながら『経営計画書』も会社や社員と共に成長するのです。




そろそろ毎年作成する理由にもお気づきいただけましたでしょうか?


そう、社員教育(役員・経営者も含む)にも使い、『予算実績会議』で使い、修正を加えてまた使い、『経営計画書』は様々な場面で使い倒すものですから、事業年度毎に新しく作り直すのです。

あっ、そうそう、古くなった『経営計画書』を保管しておけば、成長の過程を確認する事も出来ますし、場合によってはそれをコンテンツにしてセミナーを打ったり、出版したりする事も夢ではありませんよ。


是非みなさまも、小さな会社のための『使える経営計画書』を作ってみてください。


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そうそう、もっと詳細かつ具体的に『経営計画』を使えるものにするために、BSC(バランススコアカード)という手法もあります。
詳しくは、また後日改めますが、ちょっとネットで検索して見てください。
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