小さな会社の方が有利な理由
こんばんは、アキバです。今日は《小さな会社の方が実は有利だった》っという事を検証してみましょう。
あっ、そうそう、はじめに申し上げますが、『お金基準の価値観』で売上規模拡大こそが企業の目的と考えていらっしゃる方から見れば、トンチンカンな内容となっておりますので、予めご了承くださいませ。
まず、アキバが推奨している『経営理念』を機軸とした経営を、おさらいしてみましょう。
『経営理念』は、その組織やチーム、会社だからこそ提供する事が出来る商品やサービスの『本来の価値』=『存在価値+付加価値』を提供し続ける事により、お客様に喜んでいただいたり、幸せな気持ちになっていただいたり、豊かな気持ちになっていただきたいという『意志』をまとめて宣言するものです。
儲けたお金で社会貢献するのではなく、余った時間でボランティアするのでもなく、お客様に喜んでいただいたり、幸せな気持ちになっていただいたり、豊かな気持ちになっていただくために、その組織やチーム、会社だからこそ提供する事が出来る商品やサービスを提供し続けること自体が『社会貢献』となるのです。
『社会貢献』の観点からすると、喜んでいただいたり、幸せな気持ちになっていただいたり、豊かな気持ちになっていただく事が出来たお客様の数が多ければ多いほど、社会に貢献しているように感じてしまうかも知れません。
しかし、実際には地域性や企業自体の適正規模を勘案する必要がありますので、同じ『意志』、同じ『理念』を持った地域密着型の会社がネットワークを組んで仕事をした方が、より地域性を活かす事も出来ますし、リスクを分散する事も出来ます。
ただし、それだけでは《小さな会社の方が実は有利だった》とは言い切れませんね。
問題は《利益》です。
『利益』とは『経営理念』の下でお客様に商品やサービスを提供し続けていくための正当な対価です。
その組織やチーム、会社だからこそ提供する事が出来る『本来の価値』を追求し続けるためには、将来的に開発費や設備投資に回すだけのお金も確保していかなければなりません。
だからと言って、組織やチーム内で最も大切な社員やメンバーが豊かになれないような賃金政策を取ってしまっても、コスト削減に気を取られ過ぎても、結果的にその組織やチーム、会社だからこそ提供する事が出来る『本来の価値』を追求し続ける事を阻害してしまいます。
そうです。
規模の拡大をすればするほど、必要な利益額も増加するのです。
規模が拡大すると、社員やメンバーも増やさなければなりません。
売上規模を拡大しても『本来の価値』を低下させずに商品やサービスを提供し続けるためには、人が必要になりますし、お金が必要になります。
組織やチーム内で最も大切なのは『人』です。
人数が増加すればするほど、『経営理念』の浸透を含めた社員教育が必要になります。
社員やメンバーの数が増えれば、当然のように『経営理念』をあまり大切にしない人も増えてしまい、その結果として組織内における『本来の価値観』が稀薄化して、商品やサービスの『質』が低下してしまうからです。
さらに、組織内で最も大切なのは『人』ですから、優秀な人材を社外に流出させないためには、『お金』も必要になります。
社員やメンバーは、確かにお金のためではなく『経営理念』に『共感・共鳴』して働いていたとしても、社員やメンバーひとり一人が会社や組織に対して提供した『価値』に対して、『ありがとうの対価』である『お金』を十分にもらえなかった場合、その社員やメンバーが提供する事が出来る『価値』をもっと高く買ってくれる会社や組織に流出してしまうリスクはありますね。
ですから、規模の拡大路線に乗ってしまうと、社員教育に時間をかける事が必要になったり、優秀な人材が流出しないような賃金政策も必要になったり、『品質』=『本来の価値』が低下しないような管理体制の強化が必要になったり、『人・モノ・金』に関する問題を解決し続けながら、その組織やチーム、会社だからこそ提供する事が出来る『本来の価値』を提供し続けるための『お金』=『利益』も増やし続けなければならなくなります。
『利益』を伸ばし続けなければ(実際にはお金=キャッシュフロー)、巨大化した組織を維持する事が難しくなってくるのです。
『経営理念』の浸透を後回しにして『お金』で社員やメンバーをつなぎ止めようすると、『本来の価値観』が稀薄化して『お金基準の価値観』の組織となり、お客様に提供する商品やサービスの『本来の価値』の低下からお客様が離れてしまいます。
社員やメンバーが豊かになれる賃金政策を採らずに『経営理念』の浸透だけを行なっても、優秀な人材が貧乏暇なし状態でいつまでも頑張ってくれるとは限らないため、いずれ組織の崩壊につながるでしょう。
また、地域性を無視した規模の拡大は、企業経営において(個人的な仕事においても)一番大切なお客様を無視する事になってしまう場合もあります。
みなさんは、
「明る〜いナショナ〜ル♪、明る〜いナショナ〜ル♪、みんな〜♪家中〜♪な〜んでも♪ナショ〜ナ〜ル〜♪」
っていう歌、ご存知ですよねぇ?
あの松下電器産業さんと松下電工さんは、日本人に長年親しまれた〔ナショナル〕というブランドを捨てる事を決定しました。
アメリカでは〔ナショナル〕というと国営企業だと思われるため、〔ナショナル〕ブランドが使えないという事はわかります。
しかし、日本企業が一番お世話になっている日本人にとっても親しまれている名前を捨ててしまうのは、いかがなものでしょう。
白物家電と松下電工製品はナショナルで、黒物+パソコン周りなどがパナソニックというイメージの中、ナショナルの家電がこれまでに築き上げた親しみや信頼を捨ててしまうのです。
なぜ、そこまでして〔ナショナル〕を捨て、〔パナソニック〕に統一しなければならないのか?
それは拡大路線の宿命だからでしょう。
日本国内は〔ナショナル〕で海外向けは〔パナソニック〕にしているのと、全部〔パナソニック〕に統一してしまうのでは、コストが圧倒的に違うのです。
ブランドイメージを維持する費用だけでも、1つと2つでは単純に倍違います。
松下さんの規模に対して〔単純に倍〕なんて事はバカな言い回しでしょうが、そういう事です。
ニュースだけでは「ずいぶん簡単にナショナルをすてちゃうんだなぁ〜」っという印象しか残らないかも知れませんが、〔ナショナル〕に親しみや信頼を持ってくれている日本のお客様に、ある意味背を向ける訳ですから、本当は松下さんも苦渋の決断だったのでしょう。
巨大化した組織では、大切なお客様を守り続ける事も非常に大変になってしまうのです。
小さな会社であれば、提供する事が出来る数=『価値』を受けられるお客様の数は限定されますが、『本来の価値』を提供し続けるために必要な『利益』が膨らみ続けるという事はありません。
『経営理念』の浸透についても、採用の時点から『共感・共鳴』する人材だけを採用する事が大きな会社ほど難しくありませんし、『経営理念』を再構築しようと思った時には社員やメンバー全員で考えて決める事も可能でしょう。
もう一つ。
小さな会社の意思決定と、大きな会社の意思決定において決定的に違う部分があります。
みなさんは、多数決で〔本当は一番良さそうな意見や企画〕が落選し、〔一番無難な意見や企画〕が採用されてしまったという経験がありませんか?
人数が多ければ多いほど、個性的ではなく一般的になってしまう可能性が高くなるのです。
一般的になると失われるもの。
それが、《その組織やチームだからこそ》という部分です。
差別化のポイントです。
小さな会社だからこそ出来る事があります。
小さな会社だからこそ節約出来るコストがあります。
《小さな会社の方が有利な理由》の巻き。
本日はここまで。
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