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こんばんは、アキバです。


みなさんの会社には、『経営理念』が掲げられていますか?


コンサルタント仲間には割と有名お話ですが、

コンサルタントAさん
「あの〜、すみません。御社に『経営理念』はありますか?」

一般社員君Bさん
「あっ、ありますよ!‥‥えぇ〜っと、ほら、あそこにあります!」


チャンチャン♪

なぁ〜んて話もあります。



そう、『経営理念』は掲げられているものだったり、貼り付けられているものだったり、ちゃんと機能していない会社がまだまだたくさんあるんです。


「『経営理念』は難しいからとりあえずどこかの会社のをパクっちゃえばいい。それよりもビジネスモデルと経営計画を綿密に策定する方が大切だ。」っとおっしゃる方も中にはいらっしゃいます。



そこで今夜は、

『経営理念』が有効か否か?

有効だとすれば、どんな『経営理念』が有効か?

について考えてみましょう。



まず『経営理念』が有効か否かです。


これは前々回の《『金勘定』の大切さ》の巻きと前回の《お金が先か?理念が先か?》の巻き、それ以前にも何度かお伝えいたしました通り、組織全体をまとめて向かうべき方向性を決める上で、とっても有効なものであるといえます。


金額ベースの目標だけであれば、不正をしても、偽装をしても、儲けるためであれば「まっ、これくらいは仕方ないかぁ〜。。。」っと、悪い事だと思わない人が出てきてしまいます。


もし不正や偽装が見つかっても、平謝りと言い訳を駆使すれば大丈夫だろうと践んでいるんでしょう。



『経営理念』によって組織全体の向かうべき方向性が決められていれば、不正や偽装を未然に防ぐ事だって出来る!、かも知れません。


《かも知れません》っというのにはワケがありますが、そいつはまた後ほど。



「『経営理念』は組織全体をまとめ上げる求心力として有効なんだよ〜。」っていう事にして、次にいってみましょう。



『経営理念』が有効だとすれば、どんな『経営理念』が有効でしょうか?


ここでは、20世紀型資本主義のイケイケドンドンタイプと、最近よく見かけるようになったESタイプ、わたしが推奨するCS+マーケティングタイプ、混ぜ混ぜタイプに分類してみましょう。



【20世紀型資本主義のイケイケドンドンタイプ】

このタイプは利潤追求型で、売上高を伸ばし続け、利益を伸ばし続け、常に業界トップの《販売個数》もしくは《売上高》、もしくはその両方を勝ち得る事を目指しているタイプです。


【ESタイプ】

ES=社員満足度追求型のタイプです。

会社全体としての仕事は一人では出来ず、社員ひとり一人が幸せであるからこそ、お客様に商品やサービスを提供する事が出来るという考え方です。


【CS+マーケティングタイプ】

お客様に商品やサービスの『本来の価値』を提供し続ける事を追求するタイプです。

自分達だからこそ提供する事が出来るモノは何なのか?

そのモノはどんなお客様に提供し続けたいのか?

そのモノを提供する事によって、お客様にどんな気持ちになっていただきたいのか?

を一番大きなチャンク(分類、塊)で表現したものです。


【混ぜ混ぜタイプ】

このタイプは、社員も大切だし、お客様も大切だし、売上・利益も追求するし、でも社会貢献もしたいし、そのためには「こんな事やあんな事」もやった方がいいしって、焦点が定まらず、チャンクもバラバラだけれども、とにかくやった方が良い事を並べちゃうタイプです。



まず組織全体をまとめる求心力が発揮されるか否かから見ていきましょう。


【20世紀型資本主義のイケイケドンドンタイプ】は

「売上、利益を向上させるんだ!」

「オー!」

っという具合に、戦闘型の組織力を発揮する事が出来るでしょう。

強いリーダーシップを発揮する事が出来る管理職を布陣した、トップダウン型の組織を上手く操る事が出来れば、売上向上→利益向上→賃金アップ→社員満足度向上という図式になります。

『お金』の面では会社も社員も潤いますね。

あっ、そうそう、このタイプはダメ社員を教育しちゃダメです。

あくまでも、売上・利益の向上を狙ってるんですから、ダメ社員を教育していては『理念』に反しますからね。

ダメ社員は‥‥‥‥

入れ替えです。



【ESタイプ】は社員満足度を重視していますので、社員やメンバーから見れば

「うちのトップは、自分達の事を大切にしてくれているんだ。」

とか、

「みんなで幸せになるために頑張るんだ。」

といったアットホームな雰囲気の一体感は見込めそうです。


社員満足度を向上させるという事ですから、経済的な満足も『心や気持ち』の上での満足も両方期待出来そうです。


このタイプの場合には、出来の悪い社員がいても辞めさせる事はタブーです。

社員満足度の向上を「社員を守りますよ〜。」っと受け取った社員に対して、「やる気の無い社員は辞めてくれ。」なぁ〜んて言ってしまったら、つじつまが合わなくなってしまいます。

トップの考えに矛盾のないようにするには、依存型ぶら下がり社員も多少多目にみてあげる事が必要になります。


【CS+マーケティングタイプ】の場合には、向かうべき方向性は『お客様』に統一されます。

やるべき事は商品やサービスの『本来の価値』を追求し、お客様に提供し続ける事に統一されます。

社員やメンバーは、

「そう、是非一緒にその仕事をしていきたい。」

っと強く思う人だけが残っていきますので、常に『経営理念』と社員やメンバーそれぞれの思いにズレや乖離がないかを確認しているだけで、組織はまとまっていきます。

【混ぜ混ぜタイプ】は、あれもこれもで優先順位も定まらないため、受け止める人によって重要だと思う部分が食い違ったり、あれもこれもが打ち消しあって結局はお飾りの『経営理念』になってしまいがちです。



組織をまとめる求心力からみると、消去法では【混ぜ混ぜタイプ】が消えることになりますね。



それでは、前段で仮定いたしました、「不正や偽装を未然に防ぐ事」につながるリスクマネジメントの観点からみてみましょう。


【20世紀型資本主義のイケイケドンドンタイプ】の場合には、事業活動における最大の目的が売上・利益の向上ですから、経営者も含めて社員やメンバーひとり一人の道徳心や貢献的な気持ちがなければ、提供する『価値』やお客様は二の次になります。

例えば売価が同じで原価を下げれば利益は増えますよねぇ。

原価を変えずに売価を上げても利益は増えますが、売価を上げるにはお客様に納得していただける理由が必要です。

お客様に納得していただける理由を探して値上げをするよりも、原価を下げる方が簡単です。(最近の原材料高の環境下では必ずしもそうではありませんが…)


利益向上のために原価を下げているうちに、

「このくらいならいいかなぁ…」

「このくらいならバレないだろう…」

「このくらいでもバレないかなぁ…」

「こうすればバレないだろう…」


っと、「提供している価値は変わりませんよ〜」なぁ〜んて顔して、消費期限切れ原材料を使い回しちゃったりして。。。。

心理的テクニックを使ってお客様に「No!」と言わせないようにしたりして。。。


一概には言えませんが、このタイプの場合には経営者も含めて社員やメンバーひとり一人の道徳心や貢献的な気持ちがなければ、不正防止やリスクマネジメントを根付かせる事は難しいでしょう。


【ESタイプ】の場合も同様に経営者も含めて社員やメンバーひとり一人の道徳心や貢献的な気持ちがなければ、不正防止やリスクマネジメントを根付かせる事は難しいでしょう。

ただ、このタイプの場合には社員やメンバー同士の協調性は【20世紀型資本主義のイケイケドンドンタイプ】よりも強くなりますから、社会やメンバーの延長線上の家族、そのまた延長線上のお客様といった視点は持つことが可能でしょう。

そういった意味では、【20世紀型資本主義のイケイケドンドンタイプ】よりは不正防止やリスクマネジメントを浸透させやすいと言えるでしょう。


【CS+マーケティングタイプ】の場合は、お客様に対して商品やサービスの『本来の価値』を追求し、商品やサービスの『本来の価値』を提供し続ける事が事業を営む最大の目的ですから、商品やサービスの偽装は『理念』に反する事になります。

また、お客様に『本来の価値』を伝えられない事も『理念』に反しますので、心理的テクニックで売り込むような事はありません。

商品やサービスの『本来の価値』を提供し続ける事が目的ですから、たった一人の社員が不正や不祥事を起こしてしまっても事業継続に支障をきたす恐れがありますので、『経営理念』自体に不正等を未然に抑止する効果があるといえます。



組織全体をまとめる求心力とリスクマネジメントを総合すると、道徳心や貢献的な気持ちがある社員やメンバーが集まった【20世紀型資本主義のイケイケドンドンタイプ】か、【CS+マーケティングタイプ】が良さそうですね。

【ESタイプ】は依存型ぶら下がり社員が発生しやすい風土の上に、依存型ぶら下がり社員を教育して育てる必要がありますので、無駄が多くなってしまいがちです。

完全に自立型相互支援社員しか採用しないようにするか、自立型相互支援社員を育てる仕組みを別途つくれば良いのですが、私にはそんな仕組みや方法が思いつきません。
(どなたか、「これだ!」っていうのがあれば、ぜひ本にでも書いて発売して下さい。買います。)



道徳心や貢献的な気持ちがある社員やメンバーが集まった【20世紀型資本主義のイケイケドンドンタイプ】と、【CS+マーケティングタイプ】は、どちらも良い結果を導き出す『経営理念』と言えるでしょう。



ただ、ひとつ言えるのは、【CS+マーケティングタイプ】には前提条件が付きません。


『経営理念』を一番大きなチャンク(分類、塊)として捉えていれば、チャンクを細かく砕いていくだけで自ずとやるべき事に辿り着く事が出来ます。


『経営理念』に『共感・共鳴』しているか否かを確認しているだけで、組織の自浄作用も働きます。


難しい言葉や、無理ヤリの社会貢献なんていりません。


「私たちは、あなたに対して、こんな『価値』を提供し続ける会社ですよ〜。」

「あなたに『価値』を提供することによって、あなたに『こんな気持ち』になってもらいたい、『こんな暮らし』をしてもらいたいんですよ〜。」

っという宣言をすればいいんです。


その言葉は、お客様にも取引先にも、社員やメンバーにもわかりやすい言葉でなければ、伝わりませんから、難しく考える必要はないんです。


社会貢献は、何人ものお客様に貢献してるじゃないですか。


勿論、事業を継続し続けるために貯めてきた『お金』が余ってくれば慈善活動に使う事も良いことだと思いますが、儲けた『お金』で慈善活動すると、お客様から慈善活動分の『お金』を余計にもらっちゃってるのと同じでしょう。




シンプルでいいんですよ。

わかりやすいのが、いいんです。



あなたの会社だからこそ提供することが出来るモノを追求し続ける。


あなたの会社だからこそ提供することが出来るモノを提供し続ける。


その事業活動によって、お客様にどうなって欲しいのかを常に思い描き、その事業活動に『心・気持ち・情熱』を注ぎ込む。



もっと簡単に言うと、

《あなたらしいやり方で、お客様に喜んでもらうために、『本気』で頑張る》

っという事をお客様にわかるように書いてみればいいんです。



意外に簡単だけれども、効果の高い【CS+マーケティングタイプ】の『経営理念』。



ぜひ、お試しください。

ねっ!。



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