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こんばんは、アキバです。


一昨日は、その組織やチームだからこそ提供する事が出来る商品やサービスの『本来の価値』(=『存在価値』+『付加価値』)を、どのようにお客様に提供する事によって、お客様にどのように(ex.喜んで、楽しんで、豊かに等)なって欲しいのかを宣言したものを『経営理念』にしましょうというお話でした。


今夜は、この中に登場する『お客様』は、誰でもいい訳ではなくて「ちゃ〜んと選びましょうねっ!」っというお話です。


中には「お客様を選ぶなんてとんでもない!お客様から選ばれる会社にならないとダメでしょう!」っと、いきなり怪訝な顔をされた方もいらっしゃるでしょう。


そんな方こそ、お時間の許す限り、ごゆっくり、そしてじっくりとお読みいただければ幸いです。





『本来の価値観』による『経営理念』を基軸にした場合、お客様に商品やサービスを提供し続ける事が大切になります。

事業を継続し続けるためには、適正な利益を維持し続ける必要があります。

適正な利益を維持し続けるためには、適正な利益を上げられる売価で商品やサービスを売り続ける必要があります。


まぁ、結局はどちらから見るかだけで、お客様に『本来の価値』を提供し続ける事と、商品やサービスを売り続ける事は一緒なんですが、考え方の順序やロジックが違うので、お気をつけくださいませ。



ここでロジックを見誤って《売れる事=売上を上げる事》を目的としてしまうと、お客様は誰でもいい事になりますよねぇ。

売れればいいんですから。


ですが『本来の価値観』による『経営理念』を追求していくと、「買ってくれた人がすべてお客様」なのではなく、予め「買って欲しいお客様」を想定するようになります。


簡単にいうと、悪人に喜んでもらいたいと心から強く思って事業を営むのは、相当な極悪人でしょう。

逆にいうと、『経営理念』無しで事業を営んでいても、普通は悪人をお客様にしたいとは思わないでしょう。


ならばどんな人に、あなたの組織やチームだからこそ提供する事が出来る商品やサービスの『本来の価値』(=『存在価値』+『付加価値』)を提供する事によって、喜んで欲しいですか?


商品やサービスを『お金基準の価値観』ではなく『本来の価値観』で追求していくと、自分達がせっかく『心・気持ち・情熱』を込めて提供するんだから、《こんな人たちに提供してあげたい》と、自然に思う筈です。


逆に《こんな人たちに提供してあげたい》と思っていても、そうでない人ばかりに売れるようであれば、フラストレーションが溜まるでしょう。




例えば、こんな感じです。



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町の貧しい子供達に元気を出してもらいたいと思っている、町の美味しいパン屋さんがありました。

町の美味しいパン屋さんは、パン屋を続けられて自分がなんとか生活していければいいと、とっても美味しいパンを、とっても安く提供してくれてました。

おかげで町の貧しい子供達は元気に飛び回って遊び、町の美味しいパン屋さんは毎日賑やかに楽しんで仕事をしていました。


ところが、すぐ近くにある隣町の金持ちパン屋さんが、町の美味しいパン屋さんの評判を聞きつけ、毎朝一番で町の美味しいパン屋さんのパンを買い占めるようになったのです。

隣町の金持ちパン屋さんは、「そんなに美味しいパンだったら、もっと高く売れるだろう。」「味は申し分ないし、うちで仕入れて売っても儲かるなぁ‥‥」っという魂胆です。


しかも、金持ちパン屋さんは町の美味しいパン屋さんが不信に思わないように、お金で子供達を雇って町の美味しいパン屋さんに買い付けに行かせていたのです。


ひとがいい町の美味しいパン屋さんは、はじめはみんなで仲良く朝早くから買いに来てくれているので、喜んでいました。

でも、他の子供達が買いに来てくれた時には、もう売り切れです。


来る日も来る日も、隣町の金持ちパン屋さんに雇われた子供達だけにしかパンを売ることができません。


町の美味しいパン屋さんは町の貧しい子供達のために、たった一人でほんのわずかな利益でやっていましたので、もっと材料を仕入れて、もっとたくさんのパンを焼く事はできませんでした。


やがて町の貧しい子供達は元気に遊べなくなり、お店の活気も、町の賑やかさも消えて、町の美味しいパン屋さんもやる気を無くしてしまいました。


町の美味しいパン屋さんはやる気を無くしながらも自分の生活のために、なんとかがんばってパンを焼き続けました。

でも、気持ちが入らないパンはだんだんと美味しくなくなってしまい、納得のいかない町の美味しいパン屋さんは、とうとうお店をやめてしまいました。


ここで困ったのは隣町の金持ちパン屋さんです。

町の美味しいパン屋さんのパンの味がだんだん落ちてきてクレームが出始めていたところに、仕入先が無くなってしまったのですから、たまったもんじゃあありません。


とはいっても隣町の金持ちパン屋さんも、仮にもパン屋さんですから、昔のように焼いてみればなんとかなると思いました。

隣町の金持ちパン屋さんは儲けが減らないように、がんばってパンを焼きました。

儲かるようにがんばって材料費を安く抑えました。

儲かるようにがんばって新しい機械も導入しました。


ですが、お客様からのクレームは日増しに多くなりました。


隣町の金持ちパン屋さんは、最新のパン焼き機械で一貫生産しているのにクレームが増えるのは、機械屋さんが悪いんだと思いました。


お客様からのクレームと機械屋さんへのクレームで、隣町の金持ちパン屋さんの顔は鬼の形相です。


こうして結局、「恐いおじさんがまずいパンを売っている」という噂が広まってしまい、隣町の金持ちパン屋さんもお店を閉めてしまいました。


〜続く〜

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健全に事業を営んでいくためには、自分達が商品やサービスを提供したいお客様を想定すると、とても素晴らしい効果があります。


とても素晴らしい効果とは、自ずと『心・気持ち・情熱』を込めて仕事をするようになるという効果です。



好きな人へのプレゼントを選んだり、作ったりしている時には、ドキドキ・ワクワクするでしょう。


子供達が大好きなお父さんやお母さん、おじいちゃんやおばあちゃんのために何かをしてあげて、「ありがとねっ。」って言われると、子供達のつぶらな瞳から自然と感動の涙がこぼれ落ちるでしょう。


そんな姿を見ている人も泣けるでしょう。



『心・気持ち・情熱』を込めて仕事に打ち込むには、お客様を選んだ方が良いのです。


予め選んだお客様から『ありがとう』の対価である『お金』をいただけない=売れないのは、『ありがたい』と思って欲しいお客様からありがたがられていない事を意味します。


『ありがたい』と思って欲しいお客様からありがたがられていない事がわかったら、どうしますか?


喜んで欲しい彼女や彼氏、お父さんやお母さん、おじいちゃんやおばあちゃんが喜んでくれなかったら、聴きますよねぇ。

「何がいい?」とか「コレとソレ、どっちがいい?」とか。。。


そう、能動的・自発的にマーケットリサーチも、始めるんですよねぇ。
お客様が決まっていると。。。



さてさて、物語の事例では、お金持ちにすべての商品を買い占められてしまいました。


提供したいお客様ではない人に買い占められてしまうと、提供したいお客様の喜んだ姿を見ることが出来ませんから、『心・気持ち・情熱』が失われてしまいます。


それに加え、もう一つ大きなリスクが顕在化しています。



取引先が1社に偏っている会社は、その取引先の経営状態からとても大きな影響を受けます。

大口のお客様しか相手にしていないと、その大口のお客様がいなくなった時に売上が激減します。

物語の事例では、隣町の金持ちパン屋さんが仕掛けた買い占めによって、2つのパン屋さん同士がそのような関係になってしまったのです。



そこで一句。


金持ちに

買い占められる

  くらいなら

辞めてしまおう

  ホトトギスかな


注:ホトトギスは冥途を行き来する鳥とされている事から、辞め時を表してみました。



それでは最後に、物語の続きをどうぞ。


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〜続き〜


そうして隣町にもパン屋さんが無くなってから、しばらくたったある日、町の美味しいパン屋さんのお家の前に、隣町の金持ちパン屋さんに雇われていた子供達が集まってきました。


「おじさぁ〜ん!お〜じ〜さぁ〜ん!」

「僕らが悪かったよ〜。貧しいからって、お金が欲しいからって、隣町の金持ちパン屋なんかに雇われて。」

「僕らはもっともっとおじさんの焼いてくれたパンをお腹いっぱい食べたかっただけだったんだよ〜」

「許しておくれよ〜」

「もう一度、おじちゃんの美味しいパンを食べさせておくれよ〜」

「お〜じ〜ちゃ〜ん!」

子供達は泣きながら謝り、お願いしました。



『誰がおじいちゃんだっ!』

『なんちゃって〜』

『でも隣町のパン屋さんも、呼び捨てにしちゃぁダメだぞぉ〜。』


昔のようにすっかり元気になった町の美味しいパン屋のおじさんが、泣きながら出てきました。


子供達の真っ直ぐな気持ちが伝わって、おじさんは改めてパン屋さんを始めました。



町には活気が戻り、子供達も元気いっぱいに仲良く遊びまわり、町の美味しいパン屋さんも元気いっぱい夢いっぱいです。



そうそう、パン屋さんが無くなってしまった隣町ですが、子供達の宣伝もあって町の美味しいパン屋さんが2店舗目で出店したんだってさ。



よかったねぇ〜。

よかったよ〜。


おしまい。


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〜続くかな?〜かもね〜




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