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こんばんは、経営理念コンサルタントのアキバです。


北海道洞爺湖サミットではCO2削減比率を巡って議論が繰り広げられました。

私は「発展途上国も一律に50%削減というのは受け入れられない。」っという発言が印象的でした。


「比率」による不公平感を表面化する事なく議論が展開していくと、収集がつかなくなってしまいますよね。

1事業所当たりの削減比率であれば不公平感は少なくなりますが、国単位で一律何パーセントと決めてしまうと、経済活動の制約に繋がってしまいます。

発展途上国は事業所の数がまだまだ増加する可能性がある訳ですから、1事業所当たり50%削減したとしても、事業所自体の数が倍に増えれば、国としてはプラスマイナスゼロとなってしまいます。

ですから、「先進国には80%〜90%の削減を要求する。」っという事になるんですねぇ。


言葉の壁もありますから、微妙なニュアンスが伝わりにくいという事もあるでしょう。



いずれにしても、比率や割合に重点を置き過ぎると本質が見えなくなる事がありますから、注意が必要です。



『金儲け』で誰でも思いつく比率といえば、『利益率』でしょう。

『利益率』を上げるために原価を出来るだけ安く抑えたり、コストを削減したり、外注していたものを内製化したり、それらを勧めるコンサルタントの先生がいらっしゃったり。。。



確かに原材料費や仕入れ価格が安くなれば、『利益率』は上がります。

確かに人件費や家賃、こまめな消灯、無駄なコピーの廃止、裏紙の利用など会社全体のコストを削減すれば『利益率』は上がります。

確かに外注していたものを内製化すれば、『利益率』は上がります。



確かに『利益率』は上がりますが、同時に弊害が発生する可能性もありますよね。

商品やサービスの『本来の価値』を蔑ろ(ないがしろ)にして原材料費や仕入れ価格を安く抑えようとすると、確実に『品質』の低下つながります。

人件費を削減すると社員やメンバーのモチベーションも削減されますし、過度な節約は創造力や独創力の低下にもつながります。

外注費は確かに『利益率』を圧迫するかも知れませんが、発注先が仕事をしている時間に他の仕事をする事が出来ます。



仮に売価が1,000円で原価が900円の商品A、売価が1,000円で原価が500円の商品B、売価が1,000円で原価が300円の商品Cを製造しているメーカーがあったとしましょう。


とても薄っぺらく言うと「『利益率』が70%もある商品Cに注力して、『利益率』が1割しかない商品Aの取り扱いは縮小しながら、コスト削減しましょう!」なぁ〜んて事になるでしょう。

借入が多く資金繰りに困っている会社だとしたら、「人権費削減も検討しましょう!」なぁ〜んて事にもなるでしょう。


しかし、商品Cはその会社に数人しかいない職人さんだからこそ作れる商品で、商品Aの製造はすべて外注なので電話と書類のやり取りだけしか業務が発生しないとなると、いかがでしょう。


また、販売実績数量が下記のような場合にはいかがでしょう。

商品A : 7,000個/月(限界月産個数・7,500個まで)
商品B : 1,500個/月(限界月産個数・2,000個まで)
商品C : 1,000個/月(限界月産個数・1,000個まで)

仮に1人のお客様が1ヶ月に1つ買ってくれるとしたら、

商品Aは7,000人のお客様から『ありがたい』と思っていただいています。
商品Bは1,500人のお客様から『ありがたい』と思っていただいています。
商品Cは1,000人のお客様から『ありがたい』と思っていただいています。

こうなると、商品Aは一番ファンを増やしていて、商品Bは一番儲かる商品という事になりますね。


さて、数人しかいない職人さんだからこそ作る事が出来る商品Cに注力して、さらに資金繰りが厳しいからといって人件費や外注費を削ると何が起きるでしょう?

外注先の業者に無理を言って商品Aの外注費を安くさせようとしたり、商品Bの製造ラインを縮小して商品Cを増産しようとしたり、そんな中で職人さんの人権費を削ったりするでしょうから、

「商品Cに頼らざるを得ない体質の会社に生まれ変わったと思いきや、大切な職人さんが辞めていってしまった」

なんて事にもなりかねませんよねぇ。



比率や割合に重点を置き過ぎると本質が見えなくなる事がありますから、注意が必要なんです。


一番儲かる商品は

(1,000円−500円)×1,500個=750,000円 の商品Bです。


数人しかいない職人さんだからこそ作る事が出来る商品Cと、電話と書類のやり取りだけで済む商品Aは、

商品A (1,000円−900円)×7,000個=700,000円

商品C (1,000円−300円)×1,000個=700,000円

という事で、浅〜く見ると同じです。

しかし、商品Cは数人しかいない職人さんが作っていて、商品Aは電話と書類のやり取りだけです。
しかも、商品Aは月に7,000人ものお客様から『ありがたい』と思われている商品です。




それでは、この会社が今後どのような対策を講じるともっと儲かるようになるか考えてみましょう。

まず、一番儲かる商品Bは現状で月産2,000個まで作る事が出来ますから、商品Bの売上アップ策を考えて実行すると良さそうです。

次に会社の顔とも言える商品Aをさらに拡販してファンを増やすために、外注先の業者さんと協力し合って月産個数を増やしながら売価少し下げてあげる努力をしてみると面白そうです。

商品Bと商品Aのテコ入れによって資金繰りの改善を図りながら、商品Cを作る事が出来る職人さんの後継者を育てていく事が大切です。

「数人しかいない職人さん」という事は、おそらく天才的な能力の持ち主か年配で熟練した職人さんでしょう。

多くの場合は年配で熟練した職人さんでしょうから、退職される前に技術を継承しておく必要がありますね。

十分に技術を継承していなければ、中長期的には商品Cをお客様に提供する事すら出来なくなってしまいますからね。



たったこれだけの情報では、「これが正解!」っという結論には至りませんが、

比率や割合に重点を置き過ぎると本質が見えなくなる事がありますから、注意が必要だという事だけは事実です。



CO2の削減目標も、チャンクを細分化して「比率や割合」ではなく「量」で把握していければわかりやすくなるでしょうね。

燃費/CO2排出量けいさんき(by JAF)



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