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こんばんは、経営理念コンサルタントのアキバです。


以前、《『矛盾』チェック力を高めよう!の巻き》でもお伝えいたしました通り、『矛盾』はたとえ小さなものでも大きな綻びのきっかけとなる事があります。

そこで今夜は、『お金基準の価値観』から派生する経営上の『矛盾』を考えてみましょう。



【利益を上げる事とお客様本位】

『お金』を基準として「利益を上げる事」と「お客様に喜んでいただく事」を考えると、『矛盾』が生じます。

『お金』が基準であれば、お客様は「安い」方が喜びますし、提供する側は「高い」方が嬉しいでしょう。


『お金基準の価値観』において、一番発生しやすく大きな綻びの基となる『矛盾』とは、「利益を上げる事」と「お客様に喜んでいただく事」のベクトルが逆に向いてしまっているにも拘わらず、蔑ろ(ないがしろ)にしてしまう事です。


「お客様は安い方が嬉しい」と『お金基準の価値観』で思っていながら、一方でより大きな利益を生み出したいと考えた場合、次にどのような行動として現れると思われますか?



売価を出来るだけ安く抑えると、お客様は喜ぶ。(っと思っている)

より大きな利益を上げたい。(っと考えている)


安く売って大きな利益を生み出すには、2つの方法しかありませんよね。



たくさん売る



安く作る(安く仕入れる)

の2つだけです。



さらに金額ベースではなく利益率で考えると、選択肢は1つになってしまいますね。


「お客様本位」で良いものを安く売り続けようと思ったら、最終的には薄利多売しか手段が無くなってしまいます。

勿論、技術革新や大量生産によって安く作る事が可能になったとしても、『お金基準の価値観』で「お客様本位」を貫いていれば安く売るしかないでしょう。


「安い方が喜ぶ」と思っているんですから。


しかし、技術革新で安く作る事が出来るようになったとしても、いきなり安く売ると技術の開発コストを回収する事が出来ません。

大量生産によって安く作って売価を抑えようとした場合には、需要がついて来るか否かによって利益は大きく左右してしまいますよね。

需要が少ない商品(やサービス)であれば、売りたくても売れません。


結果として『お金基準の価値観』で「お客様本位」を貫く事が出来るのは、需要が大量にあり続ける生活必需品もしくは生活する上で必要であり続けるサービスだけでしょう。


大量に需要があり続ける商品やサービス以外を取り扱っているにもかかわらず、「お客様本位」で「安さ」を追求していると、回収する事が出来ない開発コストを掛けてしまったり、売りたくても売れない数を作ってしまったりと、経営上の無理が生じます。

経営上の努力はプラスに働きますが、無理はマイナスに働いてしまいます。


本当に「お客様本位」であれば、お客様に商品やサービスを提供し続ける事が大事な筈です。

お客様に商品やサービスを提供し続けるためには、正当な対価である利益が必要なのです。



それでも『お金基準の価値観』によって「利益を上げる事」と「お客様に喜んでいただく事」を追求しようとすると、次の2つの選択肢を選ぼうとするでしょう。




下請業者や問屋等を叩いて安く仕入れる。

もしくは、

安い材料を高い材料と偽って、本当は安いモノを高く売りつける。


この2つです。





下請業者や問屋等を叩き続ければ、体力を失って倒産してしまうか、高飛車な態度に嫌気を差して取引を止めてしまうかも知れません。

下請業者さんや問屋さんが潰れてしまっては、商品やサービスを提供し続ける事が出来なくなりますから、「お客様本位」とは『矛盾』してしまいますね。


安い材料を高い材料と偽って、本当は安いモノを高く売りつけるのは、残念ながら最近よく耳にする「偽装」です。

食肉卸のMホープ社の社長が会見で「安いもの、安いものを選んで買う、お客が悪いんだ」っと言っていたのを覚えていらっしゃいますか?

『お金基準の価値観』で「利益を上げる事」と「お客様に喜んでいただく事」を追求しているうちに、『本来の価値観』やまごころが消えていってしまう事もあるのです。


勿論、『お金基準の価値観』で「利益第一主義」であれば、「偽装」なんて当たり前になってしまいますよね。

私はかつて、仕事は「仕組んで」「仕掛けて」「落とし込む」ものだと教えられた事がありました。

あっ、教えていただいた方の名誉のためにひと言、良い意味で「しっかりと準備して、わかりやすい段取りで、納得していただきなさい」っていう事ですよね‥‥‥‥‥。

ですが、悪い意味で使うと「客にバレないように仕組んで」「客が乗ってくるように仕掛けて」「客が『お金』を払うように落とし込む」っていう事になっちゃいます。

「利益第一主義」で『お金基準の価値観』であれば、「客にバレないように安い鰻を仕組んで」「客が乗ってくるように鰻の産地や卸売り業者のシールを仕掛けて」「客が高い『お金』を払うように落とし込む」なんて、とんでもない事を実践するようになっちゃいます。

たいして有益ではない情報商材を、あたかも素晴らしいモノと見せる事によって利益につなげるとか、たいして成果の上がらないコンサルテーションを高額で受けるのも、結果的には似たようなものです。




どうですか?

ずいぶん大きな綻びになっちゃいますよねぇ。




お客様と会社の関係以外でも、『お金基準の価値観』で「利益第一主義」であれば、従業員に安い給与・報酬で働いて欲しい経営者サイドと、高い給与・報酬をもらいたい従業員サイドで対立してしまいます。

『お金基準の価値観』で直接利益を上げる従業員から見れば、直接利益を上げない従業員が自分より高い給与・報酬を得る事に納得がいかないでしょう。

自分が給与・報酬をたくさんもらいたければ、他の従業員は敵にもなります。


つまり『お金基準の価値観』が強すぎると、お客様と会社も、経営者と従業員も、従業員同士も利害関係が一致しないという『矛盾』が生じる可能性が高くなるのです。


お客様からの信用を失うリスクと、従業員の離職率が高まるリスク、常に従業員を募集しなければならない事から採用に係るコスト、従業員同士のわだかまりから派生する社内風紀の乱れ、社内風紀の乱れから派生するモチベーションの低下、モチベーションの低下から派生する手抜き仕事、手抜き仕事から派生する不祥事etc.......


『お金基準の価値観』が強い場合、よっぽど人間的に優れた社内やメンバーで構成された会社でなければ、おそらく何かしらの『矛盾』は生じるでしょう。


初めは小さな綻びで、蔑ろ(ないがしろ)にしてしまうかも知れません。

ですが、静かに蔓延して気がついたら「破綻」にまで追い込まれる危険性もあるのです。


必ずしもそうとは言いませんが、危険性はあります。


そんな危険性を回避するためにも、『本来の価値観』による『経営理念』の導入と実践をお勧めします。




そこで、一句。


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本来の

価値を追求

する事で

危険を回避し

安心経営


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お後がよろしいようで。



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今日はお客様との会議中にフリスクをポリポリやってしまう所員さんを見てがっかりしました。

でも、ちゃんと注意してあげる事が出来なかった自分に対して、一番がっかりしました。

まだまだ修行がたりません。