全社的リスクマネジメントにはアレが必要です!
こんばんは、リスクマネジメント協会 Certified Risk Manager のアキバです。8月20日から東京ビッグサイトにて、ERM2008が開催されます。
そこで今夜は《ERM(全社的リスクマネジメント)にはアレが必要です!の巻き》をお送りいたします。
ERM(Enterprise Risk Management)とは、全社的リスクマネジメントとか、組織全体のリスクマネジメントと言われるもので、最近のリスクマネジメント業界では当たり前の考え方になってきました。
専門特化したリスクマネジメントを部分的に行っていると、全体適正が保てなくなる危険性がありますから、当然の流れだと思います。
小さなチャンクにこだわりすぎて、経営全体としては活かしきれない事って、実は大企業よりも中小企業の方が多いですよねぇ。
例えばBSC(バランスト・スコア・カード)を取り入れて経営計画を立てようとしても、社員数が少ない上に自由になる時間も少ない小さな会社では、日常業務の時間を相当削らなければならないかも知れません。
(勿論、ニデコビジネスソフト株式会社さんのようにあまり日常業務の時間を削らなくてもBSCを導入出来る術を持っていらっしゃる会社もありますので、導入をお考えの方はご連絡くださいね)
ERMは、BCM(事業継続マネジメント)も内部統制もコンプライアンス遵守も、その他の業務上のリスクも全て包括してポートフォリオ化し、全体適正を図るものです。
リスクマップ上に全てのあらゆるリスクを書き出し、そのリスクを全て評価して、回避や軽減〈リスクコントロール〉をするのか、移転や保有〈リスクファイナンシング〉するのかを全体適正を図りながら決定し、各リスクに対してBCM等の具体的対策につなげて行きます。
ERMからBCMに移行するメリットは、一般的な自然災害リスク以外のリスクにも目を向けられるところです。
実は小さな会社ほどリスク許容度は低くなりやすいので、より綿密なリスクの洗い出しと、計量化、リスク評価、リスクマッピング、BCM等のリスク対策が必要になってきます。
小さい会社の場合、一般的にはマイナスのリスクが発生した時に吸収しきれる財務上のキャパシティが小さいですからねぇ。
しかし、逆に小さな会社ほど、そんな事をしている時間は無いでしょう。
小さな会社では、大企業のように時間的に多少余裕のある社員を抱えていませんし、大企業のように高いコンサルティングフィーを払って外部の専門家にお願いする余裕も無いでしょう。
そんな小さな会社でもERMを導入し、かつ上手くERMが運用出来ているような効果を発揮するのが、いつものアレです。
そう、『本来の価値観』による『経営理念』を基軸とした『経営計画』です。
『本来の価値観』による『経営理念』は《その組織やチームだからこそ提供する事が出来る商品やサービスの『存在価値』+『付加価値』を、どんなお客様に対して提供する事により、そのお客様にどのように喜んでいただきたいか?》をお客様や取引先、社員やメンバー全員がわかりやすくまとめたものです。
その『経営理念』に『共感・共鳴』した人達が、その『経営理念』通りの仕事をしたいと強く思って社員やメンバーとなります。
常に『経営理念』を最重要視していれば、社員やメンバーの構成はいずれそうなります。
簡単に言うと《お客様のために、その組織やチームだからこそ提供する事が出来る商品やサービスを提供し続けたい人》で組織やチームが構成されるのです。
社員やメンバーひとり一人が《お客様のために、その組織やチームだからこそ提供する事が出来る商品やサービスを提供し続ける事》に『心・氣持ち・情熱』を込めて仕事をしますので、パレートの法則(2‐8の法則とか2‐6‐2の法則も同じです)から脱却する事も可能です。
まぁ、そんなにいい事ばっかり言ってると「言葉でそんな事言うだけなら簡単だけど、実際にはそんな簡単に行かないだろう!」なぁ〜んていう声も聞こえて来ます。
確かに簡単ではありません。
『本来の価値観』による『経営理念』を最重要視した人事考課をどのように組み上げるか、採用の段階でどのように組み込むかといった事がとっても大切であり、導入直後には社員やメンバーの出入りが激しくなる事もありますからねぇ。
しかし、たとえ能力的に優秀な社員やメンバーが辞めていくような事になったとしても、中長期的に見ればERMに有効だという事がわかります。
何故ならば、リスクコントロール〈回避や軽減〉を実際に現場で行うのは社員やメンバーですし、リスクファイナンシング〈移転や保有〉をすべきリスクに関しても社員やメンバーが関与しないリスクはほとんどないからです。
経済産業省の「産業事故調査結果の中間取りまとめ(平成15年12月)」によりますと、産業事故のうち実に76%もの原因がヒューマンエラー(人的要因)によるものとなっています。
素晴らしいBCP(事業継続計画)が出来上がったとしても、それを運用していく社員やメンバーひとり一人が《お客様のために、その組織やチームだからこそ提供する事が出来る商品やサービスを提供し続ける事》なんて事は二の次で、本当は《自分の給料を如何に高くするかという事》ばかり考えていれば、素晴らしい計画が全く機能しない事もあるのです。
《自分の給料を如何に高くするかという事》がモチベーションの根幹であれば、その組織やチームである必要性は薄くなりますし、他の社員やメンバーは高い給料を勝ち取る上で敵対する関係となりますし、お金を払ってくれない人はお客様とも思わないでしょう。
そうなってしまうと、組織全体のリスクなんて関心が無くなってしまうのです。
勿論、《自分の給料を如何に高くするかという事》を重視していますから、上司からの指示・命令には従いますが、『心・氣持ち・情熱』は込められていません。
『心・氣持ち・情熱』が込められていない仕事には、ミスがつきものです。
そして、そんなミスの後に来るのが《言い訳》です。
最近では『金儲け』のためにミスどころか偽装までして、挙げ句の果てに社員やメンバーに責任を押し付けるような《言い訳》をする経営者も現れているくらいです。
そんな事から考えてみても、如何にマイナスのリスクにおける人的要因を減らす事が大切なのか、おわかりいただけるでしょう。
社員やメンバーひとり一人が《お客様のために、その組織やチームだからこそ提供する事が出来る商品やサービスを提供し続ける事》に『心・氣持ち・情熱』を込めていれば、自発的・能動的に組織を守るでしょう。
組織を守らなければ、《お客様のために商品やサービスを提供し続ける事》が出来なくなりますからねぇ。
《お客様のために、その組織やチームだからこそ提供する事が出来る商品やサービスを提供し続ける》ために、自立したひとり一人の社員やメンバーがお互いに支援しあいながら成長していく組織であれば、組織の自動化が図れているとも言えるでしょう。
小さな会社でもERMを導入し、かつ上手くERMが運用出来ているような効果を期待するならば、いつものアレです。
そう、『本来の価値観』による『経営理念』を基軸とした『経営計画』です。
産業事故の原因の76%がヒューマンエラー(人的要因)であり、BCMにしてもERMにしても内部統制にしても、実際に管理運営するのは人間です。
上司が給与や賞与を飴や人参としてぶら下げて、権力によって統治型の管理をしようとしても、必ず歪みが生まれます。
何故なら、単純に嫌なものは嫌ですし、面倒くさいものは面倒くさいからです。
権力はあっても人として尊敬出来ないような人の指示・命令に、いやいや面倒くさいと思いながらもしっかりと従うような人間はいないでしょう。
勿論、素晴らしい人間性を持ったカリスマ性のある人ばかりで構成されている組織やチームであれば別ですが‥‥。
そうであれば、いやいやとか面倒くさいと思わないようにする事が近道でしょう。
ですから、組織全体の目的である『経営理念』と社員やメンバーひとり一人の仕事の目的を一致させていく事が、一番のリスクマネジメントになるのです。
組織全体の目的と社員やメンバーひとり一人の目的を一致させる事は、プラスのリスクもマイナスのリスクも、どちらにも有効に働きます。
『金』や『権力』といった力による組織統治の時代は終わりました。
『本来の価値観』による『経営理念』により、組織全体の目的と社員やメンバーひとり一人の目的を統一化を図る事が、安全かつ自動化された強い組織造りにつながるのですね。
そこで、一句。
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安全に
利益も上げて
行きたけりゃ
大事にしよう
『経営理念』
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お後がよろしいようで。
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