5

カテゴリ:
こんばんは、経営理念コンサルタントのアキバです。


今晩は、指示通り出来ない理由と指示がなくてもやる理由の総括として、【“目的”の完全一致による統合】についておさらいしましょう。



作れば売れる時代だった20世紀には、「戦後の貧しい暮らしから抜け出し、自分の夢を叶えるんだ!」といった『お金』と『自己成長』『自己実現』を“目的”とした経営が主流でした。


自分の夢を叶える『自己実現』のために『お金』を出来るだけ沢山(たくさん)稼ぐ事が、従業員の個人的な“仕事に対する目的”であり、経営者でさえ自分の夢を叶える『自己実現』のために『お金』を出来るだけ沢山(たくさん)稼ぐ事が“事業を営む目的”だという人々が沢山いらっしゃいました。

勿論、21世紀の今となっても、自分の夢を叶える『自己実現』のために『お金』を出来るだけ沢山(たくさん)稼ぐ事を“目的”として働いていらっしゃる方々は、沢山いらっしゃいます。


しかし、高度情報化社会が本格化してきた21世紀の現代では、《自分のための仕事》をしている個人や法人と、《お客様のための仕事》をしている個人や法人とでは、全く結果=『お金』が違ってきてしまうようになりました。


自分の夢を叶える『自己実現』のための『お金』だけが“仕事の目的”である個人は、組織の中で積極的・自発的・能動的に貢献的に協力しあう“理由”がブレやすいために、組織の成長疎外要因となる事があります。

自分の夢を叶える『自己実現』のための『お金』だけが“事業目的”である経営者は、そのビジネスモデルである“理由”や、その戦略や戦術を採る“理由”がブレやすいために、事業の成長疎外要因となる事があります。



それでは【“目的”の完全一致による統合】について、もっとわかりやすくまとめてみましょう。



《働く理由=“目的”=何のため?》

A.〇〇という商品やサービスを提供する事により、お客様に笑顔と健康をお届けしたい。

B.お金をたくさん儲けたい。

C.自分が成長するために、チャレンジしたい。




《お客様の視点=買う目的=何のため?》

健康を保ち、明るく元氣に暮らすために、〇〇という商品やサービスを買う。




《ビジネスモデル・略》

健康思考の強い40代から70代のサラリーマン世帯をターゲットに、〇〇という新しいカテゴリーの商品やサービスを投入する事によって、新しいメタボリックリスクマネジメント市場を確立する。




∽∽∽ ケーススタディ ∽∽∽

【ケース1】

経営者の事業に対する熱い思いが

〔A.〇〇という商品やサービスを提供する事により、お客様に笑顔と健康をお届けしたい。〕

のとき、社員やメンバーも

〔A.〇〇という商品やサービスを提供する事により、お客様に笑顔と健康をお届けしたい。〕

という情熱をもって仕事をすると、

〔健康を保ち、明るく元氣に暮らすために、〇〇という商品やサービスを買う。〕

お客様との思いが一致しますので、

〔健康思考の強い40代から70代のサラリーマン世帯をターゲットに、〇〇という新しいカテゴリーの商品やサービスを投入する事によって、新しいメタボリックリスクマネジメント市場を確立する。〕

というビジネスモデルは矛盾なく成立します。



【ケース2】

経営者の事業に対する熱い思いが、

〔A.〇〇という商品やサービスを提供する事により、お客様に笑顔と健康をお届けしたい。〕

のとき、社員やメンバーが

〔B.お金をたくさん儲けたい。〕

と思って仕事をしている場合には、社員やメンバーとしては給与や賞与が高ければ良いのですから、

〔健康思考の強い40代から70代のサラリーマン世帯をターゲットに、〇〇という新しいカテゴリーの商品やサービスを投入する事によって、新しいメタボリックリスクマネジメント市場を確立する。〕

というビジネスモデルでなければならない“理由”や、そもそもその会社で働かなければならない“理由”、その経営者や上司の指示・命令に従わなければならない“理由”が無くなります。



【ケース3】

経営者の事業に対する熱い思いが、

〔A.〇〇という商品やサービスを提供する事により、お客様に笑顔と健康をお届けしたい。〕

のとき、社員やメンバーが

〔C.自分が成長するために、チャレンジしたい。〕

と思って仕事をしている場合には、社員やメンバーとしては自己成長や自己実現が出来れば良いのですから、

〔健康思考の強い40代から70代のサラリーマン世帯をターゲットに、〇〇という新しいカテゴリーの商品やサービスを投入する事によって、新しいメタボリックリスクマネジメント市場を確立する。〕

というビジネスモデルでなければならない“理由”や、そもそもその会社で働かなければならない“理由”、その経営者や上司の指示・命令に従わなければならない“理由”が薄れます。


【ケース4】

経営者の事業に対する熱い思いが、

〔B.お金をたくさん儲けたい。〕

という事であれば、

・その社員やメンバーでなければならない理由

・そのお客様でなければならない理由

・そのビジネスモデルでなければならない理由

・その商品やサービスでなければならない理由

は、すべて無くなり、


・商品やサービスの品質を保持する理由

・コンプライアンスを遵守する理由

・虚偽や偽装をしてはならない理由


などが薄れてしまいます。



逆に言うと、

自分が大切にしている何かを捨ててでも

〔B.お金をたくさん儲けたい。〕

っと思って仕事に没頭しているうちに、人として大切な『秩序・倫理・道徳・まごころ』といったものを見失うと、

「金儲けのためなら、多少虚偽や偽装をしてでも、バレなければいいだろう。」

っという魔がさし、

「もうちょっとだったら虚偽や偽装をしてもバレないだろう。」

「どうしたら虚偽や偽装をしてもバレないだろうか?」

「こうしたら虚偽や偽装をしてもバレないだろう!」

なぁ〜んて事になってしまっても、〔B.お金をたくさん儲ける。〕ための“理由”としては、矛盾しないのです。



あっ、すみません。

嘘でした。

正しくは、短期的には矛盾しませんが、中長期的には大いに矛盾します。

そんな事を続けていれば、いずれバレますからねぇ。


ただし短期的、つまり目先のお金に困った状態では、矛盾しないのです。

怖いですねぇ。


目先のお金に困っている状態⇒忙しい⇒心が亡くなる⇒『秩序・倫理・道徳・まごころ』を見失いやすくなる⇒魔がさす⇒ちょっとだけ偽装する⇒もうちょっと偽装する⇒エスカレートする


本当に怖いのは、心理的にお金に追い込まれると「自分は悪い事をしていない!」って、思い込んでしまう事です。


牛肉偽装のM社の社長が会見で言っていた「安いものばっかり求める消費者が悪いんだ!」という発言や、偽装発覚後も偽装を繰り返していた老舗料亭のSKを思い出していただけると、そんな人間の心理を確認する事が出来るでしょう。




経営者も社員やメンバーも

〔A.〇〇という商品やサービスを提供する事により、お客様に笑顔と健康をお届けしたい。〕

という事に『心・氣持ち・情熱』を込めて仕事をしていれば、

・お客様のために仕事をする理由があります

・お客様のために仕事をし続ける理由があります

・何があっても事業を続けなければならない理由があります

・リスクマネジメントをしっかりと行わなければならない理由があります

・内部統制をしっかりと行わなければならない理由があります

・社員やメンバーが全員一丸となって、お互いに支援しあう理由があります



そして、勿論、


・お客様に価値を提供し続けていくために、儲け続けなければならない理由があります





〜指示通り出来ない理由と、指示がなくてもやる理由〜



長時間お付き合いいただきまして、本当にありがとうございました。




にほんブログ村 経営ブログ 経営哲学・経営理念へ


過去90日間に書かれた、経営理念を含む日本語のブログ記事
テクノラティ グラフ: キーワード「経営理念」に関するグラフ
このグラフをブログに貼ろう!