デマ発生のメカニズム
“経”=筋道を通した“営”=営み
“経営”とは、筋道を通した営み
人生も経営も、根本を突き詰めると共通している事ばかりなんですねぇ。
こんにちは、経営理念コンサルタントでリスクマネジメント協会 Certified Risk Manager のアキバです。
震災後、twitterなどのSNSを通じて大量に拡散され、社会問題となっている「デマ」。
Wikipediaを読みますと「デマ」とは demagoguery (デマコギー)の略で、本来は政治的な目的を持って意図的に流す嘘の事を指すそうです。
ところが、いま社会問題となっているのは、
・『 流言 』:正確な知識や情報を得られず、明確な根拠も無いままに広まる噂
・『 飛語 』:根拠のない無責任な噂
がほとんどでしょう。
〜出典:Wikipedia〜
今回は『 流言 』『 飛語 』といった“ 噂 ”も含めて「 広義のデマ 」を対象として考えてみましょう。
経営方針が大きく変化した時や、大きな災害が発生した時など、自分を取り巻く環境が大きく変化した時には、「 デマ 」が発生しやすいとされています。
それでは、なぜ「 デマ 」が発生しやすいのでしょうか?
1つの仮説ではありますが、アキバの動物からカリマス(借ります)理論に当てはめてみますと、その発生のメカニズムが見えてきます。
《 アキバの動物からカリマス(借ります)理論 》
わからないモノゴト
↓
不安
↓
脅威
↓
逃避
↓
攻撃
人は動物と同じように、わからないモノゴトが身に迫ってくると、不安を感じます。
わからないモノゴトが身の回りに増えれば増えるほど、不安は増大していきます。
そんな不安な状況は、心の中に脅威として入り込み、その脅威を遠避けるための行動として、逃避行動を起こします。
しかし、自分が追い込まれて逃れられない状況下においては、その脅威の原因となる不安、不安の原因となる“わからないモノゴト”を攻撃する事によって、不安を解消しようとします。
危険なのは「わかっている事」。
しかし、どうすればリスクを回避する事が出来るのか、どうすれば安全・安心を取り戻す事が出来るのかについては「わからない事」。
被災地に物資が不足しているのは「わかっている事」。
しかし、自分が生きていくための水や食料等が、今後も手に入るのか否かは「わからない事」。
電気が不足しているから節電が必要なのは「わかっている事」。
しかし、どの程度節電したら予期せぬ大規模停電を防ぐ事が出来るのかは「わからない事」。
放射線を浴び続けると危険なのは「(なんとなく)わかっている事」。
しかし、どの程度の量を、どの程度の時間浴びると本当に危険なのかは「(おそらく)わからない事」。
(※専門家の方々や有識者の方々を除く)
もしかすると、〈 放射能 〉と〈 放射線 〉と〈 放射性物質 〉の違いも「わからない事」。
さらに、放射性物質がどれだけ放出されると、どのような範囲に対して、どのような影響をもたらす事になるのかについても「わからない事」。
面白半分の愉快犯は別として、一般の方々が「 デマ 」情報を生み出してしまったり、信じてしまったりするのは《 わからないモノゴト 》に起因する《 不安 》を《 脅威 》に感じ、その《 不安 》から《 逃避 》するために、思いつきや憶測、妄想といった情報を“ 無意識 ”に《 わからないモノゴト 》とすり替えてしまう事が原因だと考えられます。
わからないモノゴト
↓
不安
↓
脅威
↓
逃避
↓
思いつき・憶測・妄想、又は、なんらかの情報
↓
わからないモノゴトとすり替わる
↓
不安解消
脳科学や心理学の世界でも、憶測や妄想を現実だと信じ込んでしまうといった事象は起こりえる事です。
そこまでいかないにしても、《 わからないモノゴト 》に起因する《 不安 》を《 脅威 》に感じ、自己防衛本能として
[ 最悪の事態 ]
を想定した憶測や思いつきは、専門的な知識がない人ほど考えやすい事であると言えます。
真っ暗闇で何か物音がすれば、
「おばけや妖怪、怪物か何かがいるんじゃないか?」
っと思ったりするのも、同じ事象だと言えます。
逆に《 不安 》を“ 安心 ”に置き換えるような憶測や思いつき、妄想も非常に頻繁に見受けられる事象です。
もっともポピュラーな事例と致しましては、例えば長引く景気低迷の中、
「いつになったら景気が上向くと思いますか?」
っという質問をすると多くの人々が
「半年は無理だなぁ・・・・」
「半年後には上向くと思う・・・・」
っといった根拠の無い理想をまことしやかに話される方がたくさんいらっしゃいますよね。
これも「いつになったら景気が上向くのか《 わからない 》」という事に起因する《 不安 》を回避するために、根拠のない理想や妄想、憶測を口にすることで“ 安心 ”を得ているものと考えられます。
[ 最悪の事態 ]だとしても“ 安心 ”を得るための理想や妄想、憶測だとしても、《 わからないモノゴト 》を抱えている状態の方が精神的には厳しい状態であるという事です。
そして、
・より多くの人が言っている事
・社会的地位の高い人が言っている事
・自分の信じている人が言っている事
は自分自身の《 わからない 》という事に起因する《 不安 》を回避するためには、とっておきの情報として目や耳から入ってきます。
経営方針が大きく変化した時や、大きな災害が発生した時など、自分を取り巻く環境が大きく変化した時には、自分を取り巻く環境が
《 わからないモノゴト 》
に埋め尽くされるような感覚に追い込まれる方も多いでしょう。
あまりにも《 わからないモノゴト 》だらけになってしまうと《 不安 》から《 逃避 》する事も出来なくなり、次の段階の《 攻撃 》に転じます。
記者会見等で記者の方が想定した[ 最悪の事態 ]を怒り気味にぶつけるシーンは、今回の震災における枝野官房長官の記者会見以外でも、よく見かけますよね。
地震発生後のスーパーやコンビニでも、欠品が相次いでいる事がわかっているにも関わらず、
「どうなってるんだ!」
「いつになったら、買えるんだ!」
っといった怒号を聞かれた方もいらっしゃるでしょう。
買えないのは「わかっている事」。
でも、自分自身が買う事が出来るのか否かは「わからない事」。
《 わからない 》という事に起因する《 不安 》に押し潰されないように、自分自身の“ 不安耐久力 ”を伸ばし、強く生きて行くためには、
『 真実 』
『 事実 』
を追求する癖をつける事です。
思いつき・憶測・妄想ではなく、正しい情報を探す癖をつけましょう。
思いつき・憶測・妄想ではなく、『 真実 』『 事実 』を知っている人に確認しましょう。
専門用語や専門的な表現に苦手意識を持たず、わからない事を調べる癖をつけましょう。
そこまでは急に出来ないにしても、
《 わからないモノゴト 》が《 不安 》を呼び、冷静な判断力を鈍らせてしまう事を認識するだけでも、
慌てずに済む事が多くなるものと思います。
ぜひ、落ち着いた行動や言動を心掛けて参りましょう。