命令とモチベーション
おはようございます。経営理念コンサルタント、認定支援機関、金融内部監査士、リスクマネジメント協会 Certified Risk Manager、健康予防管理専門士のアキバです。
よく部下のモチベーションを上げるために手当を出したり、賞与を上乗せするなど金でコントロールしようとする方を見受けます。
部下に強い欲求を起こさせる事により、モチベーションを上げられるとお思いなのでしょうが、「金がより多く手に入る」事を目的とした場合、命令もしくは指示、あるいは何らかの取り決めにより定められた仕事を、高い品質を保って実行させるための命令・指示・取り決めも同時に必要となります。
なぜなら、その仕事のプロセスにおいて手抜きや不正、擬装、捏造などがあったとしても、結果さえ出していれば見えないからです。
まさか仕事の間ずっと付きっ切りで監視する事は出来ませんし、一挙手一投足リスクマネジメント機能の効いたマニュアルを作成して従わせる事も、現実的ではありません。
ですので、金を目的とした仕事は不正や擬装、手抜き、捏造などの温床となりやすいのです。
勿論、金を目的としても誰しもが不正や擬装、手抜き、捏造などをする訳ではございません。
その人に良心、道徳心、思いやり、まごころといったものがあれば、自ずと不正や擬装、手抜き、捏造などを未然に防止するリスクマネジメント機能が働きます。
それは、仕事に関わる全ての相手、一番にはお客様に対する良心、道徳心、思いやり、まごころ。
人間力という凄く大括りな包括した表現をされる事もありますが、簡単に言えば誰のために何をしてあげたいか?
その対価として金を貰う覚悟はあるのか?という事です。
人間力の定義は様々あるかと思いますが、社会を構成し運営するとともに、自立した一人の人間として力強く生きて行くための総合的な力が人間力。
皆が自立出来ず依存していたのでは社会は構成出来ませんし、かといって誰にも頼られる事なくバラバラの個人の寄せ集めでは社会とは呼べません。
役割分担された人間が組織を構成し、その規模が大きくなれば社会となりますし、小さな単位なら家族となります。
社会、つまり他人や仲間のために良心、道徳心、思いやり、まごころを込められるかどうか。
勿論、どんな他人に対してもという訳ではありません。
お客様であればマーケティングによりお客様と定めた方々、それに共に働く上司、同僚、部下、取引先といった人達です。
人間力が高ければ、良心、道徳心、思いやり、まごころを込められる範囲は広がるでしょうし、まだ精神的に発展途上であれば範囲は限られて来るでしょう。
それでも、
『 お金をくれる誰かのために、自分には何が出来るのか? 』
という事を自問自答しながら精神面も鍛えて行く事により、次第にペイフォワードの精神、つまり、
『 自分が何かを誰かに提供した対価として、何かをお返し頂ける 』
という感覚に気付き「お金は後からついてくる」という意味も理解出来るようになるのです。
そこに気付く事が出来れば、仕事に心を込めるという意味もわかるようになりますし、機械のように淡々と熟すだけではなく思いが大切という意味もわかるようになります。
そこには自然なリスクマネジメント機能も生まれます。
それらの部分をなくして、同一労働同一賃金を声高に叫ぶのであれば、寧ろ人は仕事に関与せず、リスクマネジメント機能も全て盛り込んだシステムを組んで任せるべきです。
人間のモチベーションを上げるもの、仕事に対する意欲を高めるドリブンは、
『 誰かに対して何かをしてあげたい 』
という単純明快な思いから。
いま一度、モチベーションの上げ方と人間教育を考え直してみませんか?