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こんばんは、経営理念コンサルタントでリスクマネジメント協会 Certified Risk
Manager の秋葉です。

ゴールデンウィーク後から、なんだかハッキリとしないお天気が続いていますねぇ。

ハッキリしないと言えば、

「名選手は必ずしも名コーチや名監督になれない。」

っと、決めつけたような言い回しがありますよねぇ。

名監督が名選手だったかというと、結構、名選手が多かったりします。

ですが、逆に見てみると、名選手だからと言ってコーチングも上手い訳ではなく、名選手だからといってチームをまとめたり、戦術の中からチョイスして戦略を立て実践しながら改善を図る事が得意な訳でもありません。

ですので、結果として専門分野で飛び抜けた才能があるからといって、部下の教育や経営が上手くできるとは限らないという事です。



例えば、凄く成績優秀なコンサルティング営業マンがいらっしゃったとしましょう。

いろいろな経験値やノウハウを活用し、独自の営業ツールを用いて、成績も3年連続No.1。

「そうだ!社会保険労務士の先生もおっしゃってたから、コンピテンシーだ!みんなで真似しよう!」

なぁ〜んていう事は、よくありますよねぇ。

素晴らしい成果を上げている人を見ると、ついつい真似をすれば同じように上手くいく・・・・・っと思ってしまう事は、よくある話です。



それでは、この“ 凄く成績優秀なコンサルティング営業マン ”が他のメンバーに研修という形でノウハウを教える事になったとしましょう。


【 成績優秀な営業マンが、他者の良いところを見つけ、認められる人物だった場合 】

その営業マン=名選手が、他者の良いところを見つける能力に長けていて、それを認める器を持っていて、協調性やリーダーシップがある人物であれば、

1.自分のやり方を教えて

2.相手の良いところを伸ばし

3.自分にない、相手の良いところを取り込んで

4.共に成長していく

という未来が見えてきます。


【 成績優秀な営業マンが、自分のやり方が一番だと強く思い、自分の尺度で考える人物だった場合 】

その営業マン=名選手が、他者の能力を確認する事なく、まず自分と同じように出来るまで徹底的に教え込もうとする人物であれば、

1.自分のやり方を教えて

2.相手が自分と同じように出来るまで教えるか

3.出来の悪い相手は見放し

4.出来の良い相手を新たに探す

という未来が見えてきます。


前者は『 全肯定的 』なスタンスの人物、後者は『 否定的 』なスタンスの人物といえますね。

わかりやすく申し上げますと、前者は自分の良い部分を肯定し、他人の良い部分も肯定し、より良い方向へ進んで行きます。

後者は自分の良い部分を肯定し、他人の良い部分は無視するか否定して、まず自分の基準をすべて満たす事を目標として進んで行きます。

っと、ここまで参りますと、いつもお読みいただいている方々からは、「あぁ〜、いつもの『全肯定的な考え方がイノベーションをもたらす』ってやつね!」なぁ〜んて声が聞こえて来そうです。


ところが、本日はそれだけでは終わりません。

〈 教える 〉っという事は、そんなに簡単なスキルではありません。

士業の先生方や、美容師さん、大工さん、シェフといった《 自己完結型 》の職人の方々に見られがちな教え方って、どんなものを想像されますか?


そう、職人さんと言えば、

「俺の背中を見て覚えろ!」

なぁ〜んていう、昔ながらの教え方ですよねぇ。

《 やってみて、言って聞かせて、させてみて、褒めてやらねば人は動かぬ 》

山本五十六様は、こんな言葉で表現していらっしゃいます。


実は、先ほどの『 全肯定的 』なスタンスの営業マンも、『 否定的 』なスタンスの営業マンも、自分のやっているようにやってみて、自分のやっている事を言って聞かせて、自分のやっている事をやらせてみるという方法で教えていれば、

《 多くのメンバーを育てる事は出来ない 》

のです。


所謂、マンツーマン体制による教育というスタイルですね。

さらに、自分のやっている通りに出来ないと褒める事がない『 否定的 』なスタンスの営業マンであれば、さらに成長させられる人数は少なくなり、結果としてダメな人材は切り捨てて、優秀そうな人材を採用し続けるといった組織が形成されて参ります。

勿論、そういった組織の場合には、人の出入りも激しく、優秀な人材は独立や転職、切り捨てられる人材と合わせて社外流出が止まらず、結果として真ん中くらいの成績のメンバーしか残らないのが実情でしょう。



それでは《 多くのメンバーを育てる 》ためには、何が必要でしょう?

人は皆、最終的には自らの意思決定によって行動します。

その意思決定をするために必要なのは『 目的 』です。

まず、『 目的 』を明確に伝え、『 目的 』をしっかりと理解しているかを確認し、相手が本氣で同じ『 目的 』のために行動しようとしているかについて、常に確認し続ける事が必要です。



次に《 細分化とグルーピング 》です。

自分がやっている事を誰かに教えようとする時に、「論理的に順序立ててお教えしますね。」なぁ〜んて言いながら、蓋を開けてみれば自分がやっている順番をそのまんま教える、要するに自分がやっている順序を間違えないように教える方がいらっしゃいます。

そこに付随してくるのは、一つ一つの行動や言葉に対する、その人の熱い熱い思い・・・・・だったり。。。。。

これでは全く同じようにものまねを出来る人が優秀だという事になりますよね。

ロールプレイングによる“ 演技指導 ”は、正に典型的な例です。

例えば、筑前煮の作り方を教えるとしましょう。

《 細分化とグルーピング 》が出来ない人の場合には、
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1本のごぼうの皮をたわしで擦ってから包丁で一口大に切って、1節のレンコンの皮をピーラーで剥いてから包丁で一口大に切って、1本のにんじんをピーラーで皮を剥いてから包丁で一口大に切って、1枚の鶏のもも肉を包丁で一口大に切って、1枚のこんにゃくにフォークで穴をあけてから手で一口大にちぎった後に沸騰した湯に入れてひと煮立ちさせ、ボールに移しておきます。
鍋に油をしき鶏が白くなるまで炒めたら、野菜を入れて少し透き通るくらいまで炒め、砂糖を大さじ2杯入れたら2〜3分炒め、醤油を大さじ1杯入れたら5分ほど炒め、しっかり味が回ったら出汁300mlを入れて、中火にし、落し蓋をして10分ほど煮ます。
汁がほどんどなくなったら、大さじ1/2の醤油を回し入れ、大さじ1杯のみりんを回し入れ、少し照りが出たら出来上がりです。
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っという感じになります。

《 細分化とグルーピング 》が出来る人の場合には、
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〈 材料 〉
ごぼう・・・・・・・・・・・1本
レンコン・・・・・・・・・1節
にんじん・・・・・・・・・1本
鶏のもも肉・・・・・・・1枚
こんにゃく・・・・・・・・1枚

(炒める際の調味料)
砂糖・・・・・・・・・・・・・大さじ2杯
醤油・・・・・・・・・・・・・大さじ1杯

(煮込む際の調味料)
出汁・・・・・・・・・・・・・300ml

(仕上げの調味料)
醤油・・・・・・・・・・・・・大さじ1/2
みりん・・・・・・・・・・・大さじ1杯

〈 下ごしらえ 〉
◎材料はすべて一口大に切り揃えます。
  ・ごぼうは、皮をたわしで擦ってから切ります。
  ・レンコンとにんじんは、皮をピーラーで剥いてから切ります。
 
※こんにゃくの下ごしらえ
 1.フォークで全体に穴をあけます。
 2.手で一口大にちぎります。
 3.沸騰した湯に入れてひと煮立ちさせた後、ボールに移しておきます。

〈 炒める 〉
 1.鍋に軽く油をしきます。
 2.鶏が白くなるまで炒めます。
 3.野菜を入れ、少し透き通るくらいまで炒めます。
 4.砂糖を入れ2〜3分炒めます。
 5.醤油を入れ5分ほど炒めます。

〈 煮る 〉
 1.出汁を入れます。
 2.落し蓋をして、10分ほど煮ます。

〈 仕上げ 〉
 1.汁がほとんどなくなっている事を確認します。
 2.仕上げ用の醤油を回し入れます。
 3.みりんを回し入れます。

少し照りが出たら出来上がりです。
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っという感じになります。


いかがですか?

《 細分化とグルーピング 》が出来る人の教え方では、後の工程も見えていて、工程ごとのつながりもわかりますので、次を考えながら作る事が出来ますよね。

《 細分化とグルーピング 》が出来ない人の教え方では、言われた通りにどんどん作って行くしかありませんので、
取りあえずボールにごぼうを入れて、レンコン入れて、にんじん入れて、鶏のもも肉を入れて、その上にこんにゃくを入れて、こんにゃくの下から鶏のもも肉をほじくりだして炒めて・・・・・なぁ〜んて事にもなりかねませんし、これが口頭であれば、切ったらどんどん鍋に入れてしまい、こんにゃくと一緒に下ごしらえ・・・・・なんて事もあるかも知れません。


もうお分かり頂けたかと思いますが、《 細分化とグルーピング 》が出来る人には

《 マニュアル作成能力 》

も備わっているのです。


そして、

・材料の調達が苦手なのか? 得意なのか?
・下ごしらえが苦手なのか? 得意なのか?
・炒めるのが苦手なのか? 得意なのか?
・煮るのが苦手なのか? 得意なのか?
・仕上げが苦手なのか? 得意なのか?
・時間配分が苦手なのか? 得意なのか?

といった事も見えてきますので、教えるポイントも右往左往する事はありませんし、教えられる側も何が得意で、何が苦手なのか確認しやすいですから、自分で考えて注意したり練習したりする事が出来るようになります。

また、「なんでこれをやらなければならないのか?」といった疑問も、ポイントが整理されていますので質問しやすくなっているのも特徴です。

例えば、こんにゃくの下ごしらえだけ強調されていますが、これは、沸騰した湯に入れてひと煮立ちさせるのは加工の際に使われる水酸化カルシウムの独特の臭みを消すためだとか、フォークで刺したり手でちぎったりするのは味が浸み込みやすくするためといった“ 意味 ”や” 理由 ”を教えやすくするためです。


《 細分化とグルーピング 》が出来ない人の教え方で、例えばロールプレイングを何度も何度も繰り返したとしても、横から言われた事をどんどん熟して(こなして)行くのに精一杯で、とりあえず終わってホッとしたのも束の間、「何回も同じこと言わせるな!!!」っとか、「なんで出来ないんだよ!!!」っとか、「だ〜か〜ら〜っ!貸してみろ!こうすんだよ!こう!」なぁ〜んて言われていれば、大器晩成型の人なんてまず育たないですよね。

そこですぐに成績を求めたとすれば、

“ 適当に熟せる人 ”

だけが残り、凄く優秀に育った人は独立等で離れて行ってしまうでしょう。

唯一、「俺の背中を見て育て・・・」っというタイプでもメンバーがついてきてくれるのは、その親方の人徳や人柄が素晴らしいからです。

人徳や人柄まで真似する事なんて出来ませんし、出来たとしても自分ではなくなってしまいますよね。




ズバ抜けた優秀な成績を残す人(名選手)が、素晴らしいコーチ(名コーチ)や素晴らしい経営者(名監督)になれないのは、

1.名選手には独特の個性や癖があるからではなく

2.コーチングやマネジメントのスキルやノウハウは別のところにあって

3.コーチングやマネジメントが不得意

かも知れないからです。


勿論、初めはコーチングやマネジメントのスキルやノウハウを知らず、不得意なところから始めたとしても、素晴らしいコーチ(名コーチ)や素晴らしい経営者(名監督)になれない訳ではありません。

すぐに結果を求め、結果が出ないからといってすぐに諦めてしまえば無理です。

ですが、本氣で『 心・氣持ち・情熱 』を込めて諦めずにやり続ければ、不可能な事はありません。

向き不向きは、どれだけ時間が掛かるかで表されますから、そこは我慢と根性で乗り切る“ 努力 ”によって克服する事が出来るでしょう。


(あっ、現実問題と致しましては、現代のビジネススピードは加速してきていますので、個人差により成長スピードが追いつかない場合もございますので、くれぐれもご注意くださいませ。)





ここで一句

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名選手

マネジメントを

勉強し

人を好めば

名監督に

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お後がよろしいようで。。。。。







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