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こんばんは、経営理念コンサルタントでリスクマネジメント協会 Certified Risk Manager のアキバです。

昨日から秋の爽やかな高気圧に包まれて、清々しい気分になりますねぇ〜。

そこで、今宵は志向を変えて、秋の夜長の短編小説をお送りします。

それでは、ごゆっくりお読みください。





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脳みそサーバ5.0

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それは徐々に人々を飲み込みはじめた。




GoogleやYahoo!などの検索エンジンとPCの更なる発達により、人間は限りある自らの脳内ではなく、より安全で容量の大きなサーバに記憶を移すようになったのである。

人々は自らの記憶を随時サーバに移し、バックアップも万全にする事によって、ありがたい事に“物忘れ”からも解放された。

また、脳内の伝達組織と直結するコネクターも開発され、人々は携帯一つで自分のサーバや仲間のサーバの一部と瞬時にして繋がる事が出来るようになったのだ。


難しい計算もアプリケーションが変わりにやってくれるし、法令を遵守しているか否かもネット上ですぐに確認をする事が出来る。

人々は知識やノウハウを外部サーバを介して、脳内に直接送り込む形で、“知識の共有化”を猛烈なスピードで実現化する事に成功したのだ。


《 脳みそサーバ5.0 》

“脳みそサーバ5.0”の登場により、人々は記憶する事や考える事から解放されたと同時に、誰もが“天才”とほぼ同等の知識を手に入れてしまったのである。


しかし人々は“脳みそサーバ5.0”による多大な恩恵を受けたと同時に、それまで人間社会に存在した「能力による格差社会」を失う事となった。

手に職を持つガテン系の職人やスポーツ選手、音楽家や芸術家、美容師やネイルアーティスト、スタイリスト、デザイナー、詩人、書道家、格闘家などの『技・体』を上手く使いこなせる人々と心理カウンセラーやセラピスト、看護師などの『心』を上手く使いこなせる人々への賞賛は多大なものとなったが、かつて「勝ち組」として地位を確立していた頭脳明晰な人々は自らのセールスポイントを“脳みそサーバ5.0”の登場によって徐々に侵食され、その立場を失い始めたのだ。


記憶する事や考える事のほとんどを“脳みそサーバ5.0”に託した結果、人々に求められる“能力”は《善悪を見極める力》にシフトしていった。

勿論、善悪を見極めるための法律も確かに存在するが、法に触れるような事であれば“脳みそサーバ5.0”が、ほぼ自動的にジャッジメントしてくれる。


しかし《人として歩むべき道》を指し示す《善悪を見極める力》は、“脳みそサーバ5.0”によって“天才”とほぼ同等の知識を手に入れてしまった人々にとって、最も大切な“能力”となった。

なぜなら、人々は“天才”とほぼ同等の知識を手に入れてしまったがために、強烈な自我により自らの利益に固執すれば、巧妙な手口による偽装や犯罪を犯す事も可能となってしまったからだ。


人々は“脳みそサーバ5.0”の登場以降、人と人とがお互いに信じあい、お互いに支援しあう事によって、素晴らしいスピードで豊かな暮らしを手に入れていった。

それは《人として歩むべき道》を指し示す《善悪を見極める力》を持つ“指導者”が、“脳みそサーバ5.0”の登場と同時期に世の中に存在したからである。


“脳みそサーバ”の開発者が予め“指導者”を育成していたか否かについては謎だが、確かに“脳みそサーバ5.0”が稼働し始めるのとほぼ同時期に“指導者”達は現れた。


しかし、そんな豊かな暮らしを手に入れる事が出来たのは、《人として歩むべき道》を指し示す《善悪を見極める力》を持つ“指導者”を信じ、共に支援しあった人々だけであった。


そう、かつて「勝ち組」として地位を確立していた頭脳明晰な人々の一部は、自らのセールスポイントを侵食し「勝ち組」としての地位を奪った“脳みそサーバ5.0”に対して怨みをもっていた。
「勝ち組」として常に人の上に立っていた『序列』が逆転したことにも納得がいかず、“指導者”に従う自分は「負け組」のような気がして、“指導者”の助言や提案には耳を貸そうとしなかった。

自らの能力が認められず、そんな社会で豊かに暮らす人々も理解できない彼らは、すべてを悲観的に捉えてしまい、自分が考える事もやる事も、他人の考えや行動も全て否定するようになっていった。

世の中の全ての事は運命で決められた事だから、どうしょうもないと諦めてしまうため、抑うつ状態になってしまったり、自分を傷つけるといった自虐行動を起こしてしまう者もいた。

人間とは恐ろしいもので、全てを否定し始めると世の中全ての存在を否定する者まで現れてしまうのである。




そして“彼”は現れた。

世の中の全てを否定し、自らのセールスポイントを侵食し「勝ち組」としての地位を奪った“脳みそサーバ5.0”に対する怨みをもって。


かつて「勝ち組」として地位を確立していた明晰な頭脳をフル稼働させながら怨みの籠もった“脳みそサーバ5.0”を従えて。


“彼”は“脳みそサーバ5.0”に対する怨みを晴らし、自らが否定する社会全体を破壊するために、敢えて自らの“脳力”と““脳みそサーバ5.0”の能力を融合させる事を選んだのだ。


そして“彼”はネット上に渾身の一撃を解き放った。


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“脳みそサーバ5.1”へのアップデートのお知らせ


ユーザー各位

いつも“脳みそサーバ5.0”をご利用頂きまして、誠にありがとうございます。

“脳みそサーバ5.1”へのアップデートの準備が整いました。

“脳みそサーバ5.1”は、《人として歩むべき道》を指し示す《善悪を見極める力》を発達させる最新機能《善造くん》を搭載し、ますます皆様の豊かな暮らしに貢献出来るようになりました。


只今、無料アップデート実施中。


詳しくはこちらをご覧ください。

https://noumiso.*********************************************************

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それは徐々に人々を飲み込みはじめた。


〜〜続く〜〜



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こんばんは、アキバです。

先日買ったBRUTUS(マガジンハウス・500円)の中にピーチ・ジョンの社長・野口美佳様の記事がありました。


BRUTUS (ブルータス) 2008年 4/15号 [雑誌]



《日本経済入門》と題した今回のBRUTUSは、経済学者や評論家はお断りで、ビートたけし様、テレビ東京の塩田真弓様、陸上の為末大様などがそれぞれ独自の観点で経済について語っている、とてもお買い得な1冊でした。


ピーチ・ジョンの社長・野口美佳様の手記は「お金持ちになったワタシ・チャリティー+マドンナ+売名=65万ドル」というお題で、NYの国連本部でマドンナとグッチが共催したチャリティーオークションでの目玉商品(商品といっても“物”じゃありません)を65万ドルで落札した経緯から、野口美佳様流の《お金のあり方》を綴ったものです。


65万ドルは野口美佳様が尊敬するマドンナに対する敬意と、オークション会場にいた600人の有名人のからの注目や落札のニュースを聞いた人々への自分自身のコマーシャル効果を考えれば、決して高い買い物ではないとの事。


流石にお金持ちの感覚は違うなぁ〜っと思わせつつ、一番大切な事は後半に書かれてました。



「一生かけても自分の資産を使い切ることはできない。4、5年前にそう気づいてから、やっぱり最終的にはチャリティーかなと思うようになったんです。」

〜中略〜

「本気でやろうと思うと、100億円程度では全然足りないんです。発展途上国に病院や学校を建てても、根本的な解決にならない。」

〜中略〜

「もともとはみんなのお金の一部が私に集まってきただけ。使い道に使命を感じています。」



かなり間は端折ってますが、とっても大切な事を教えていただきました。


20世紀の過度な資本主義からバブルを通して『お金基準の価値観』が染み付いてしまった人々には、とっても良い薬です。

21世紀に入り、富の偏在が問題視されるようになってきました。


「お金は寂しがり屋さんだから、お金持ちのところに寄っていくんだよ。」ってな如く、一部のお金持ちに『お金』が集まっていく時代です。


『お金基準の価値観』と『序列の価値観』が強い人々は、『お金』をたくさん持っていれば偉く、そして豊かだと思ってしまいます。


そうなると、ステータスとして乗り切れない程のスーパーカーを倉庫にしまい込んだり、乗り切れない程のヘリコプターを倉庫にしまい込んだりしてしまいがちです。


それが、ピーチ・ジョンの社長・野口美佳様は、「もともとはみんなのお金の一部が私に集まってきただけ。使い道に使命を感じています。」っとはっきり言い切っています。


この記事を読んで私は思いました。


道徳心があり、貢献的な『お金』の使い方に気づいた人が、社会貢献のために『金儲け』に執着する事は、ある意味悪い事ではないなぁ〜っと。


『金儲け』っていうと聞こえは悪いかも知れませんが、『お金』を持て余し、世の中の『お金』の流動性を失わせかねない《成金な人々》に『お金』が集まってしまうくらいなら、たとえ『金儲け』が目的でも結果オーライになるのかなぁ〜っと。


たぶん、道徳心があり、貢献的な『お金』の使い方に気づいた人は、『金儲け』が目的だなんて言ってても、必ず『お客様』に対して『本来の価値』を提供してくれてますからね。


そうでなければ、『儲け続ける』事なんて出来ませんし、仮に必要以上に儲けちゃったとしても、地球規模で見れば良い結果に結び付きますからね。


やっぱり最後は『人間力』です。


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